秘書です。
商標登録のオンライン出願を自分でやってみました。
たくさん勉強したのでまとめます。私は法律や特許に関してまったくの素人ですが、自分でなんとかできました。
参考になれば幸いです。
一人では難しいけど、電話をしまくればなんとかできます!
紙とインターネット、どっちがいいの?
出願は書面による出願とオンラインによる出願があります。
色んなサイトを読んだり、実際特許庁にも電話しましたが、インターネットでの出願は手間がかかる!
なので今後何件も出願する案件がなければ書面による紙出願が望ましいでしょう。と。
しかし、我々は早期出願も一緒に出したかったのでインターネット出願に挑戦しました。
紙出願とインターネット出願のメリットデメリット
①商標登録されるのにかかる時間
書面による通常出願だと出願してから審査、商標登録されるのに約1年
早期出願を提出し受理されれば早まりますが、早期出願も紙よりインターネットのほうが1ヶ月早まるのでインターネットでの出願に決めました。
書面を電子化するのに1ヶ月ほどかかるそうです。
②費用の違い
紙出願は電子化するための手数料がかかります。
基本料金1200円+700円×枚数
インターネット出願は無料です。
③手数料の支払い方法の選択肢
紙出願は郵便局や特許庁にて発行される特許印紙を購入する必要があります。
インターネット出願は4つ方法があります。
- 予納・・特許庁内に専用口座を設け、予め金額をいれておき、引き落とされる
- 現金納付・・専用の納付書を用いて銀行から納付、別途「納付済証」を特許庁へ送付
- 電子現金納付・・インターネット出願ソフトを用いて納付番号を取得しインターネットバンキング、ATMより支払い
- 口座振替・・口座を特許庁に登録し特許庁が指定口座から引き落とし
比較結果
今回の比較をもって、インターネット出願が一番早いだろうという社長の判断にて、インターネット出願に至りました。
出願準備編
1、登録したい商標がすでに使用されていないか調べる
商標登録する場合、だそうとしている商標がすでに登録されていないか調べる必要があります。
すでに登録されている場合、出願しても却下になります。
以下のサイトで簡単に調べることができます。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
同じ読み方でも区分が異なれば商標登録が可能になります。
2、区分を調べる
先ほど「区分」と書きましたが、商標には商品の種類ごとに「区分」が決められており、出したい商標の区分を調べる必要があります。
特許庁のサイトにて確認できます
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/ruiji_kijun9.htm
他にも見やすいサイトはたくさんあるので比較してみてください。
今回私たちが登録したいのはアクセサリーを取り扱った店舗名でしたので、第14類と第35類に相当すると判断しました。
ここで大事なのは特許庁に電話です。ヒアリングで詳しく区分を教えてもらえます。
特許庁 03-3581-1101(代表)
私はここで第14類でアクセサリーが商品なら『身飾り品』と記載すべしと言われました。
そして第35類は必要ないのではと言われましたが、商標名を店舗名として使われるのを阻止すべく第35類『身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便宜の提供』が良いのではとの意見をいただきました。
3、電子証明書の準備
インターネット出願する場合、この「電子証明書」が必要となります。
取得方法はこちらを参考にしてください
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00028.html
法務省のホームページにて詳細が確認できます。
個人か法人かで取得方法や手数料、証明期間が変わってくるので注意してください。
我々は法人ですので、ファイルタイプの証明書の発行をしました。
①証明書取得ソフトのインストール
法務省のサイトから電子証明書取得ソフトをインストールします(現在、Macには対応していないようです。windowsのみとなります)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00027.html
②申請ファイル作成
ソフトを起動し、手順1「鍵ペアファイルおよび証明書発行申請ファイルの作成」を行います。
必要事項を記入し、「証明書発行申請ファイル」と「鍵ペアファイル」を作ります。
このときに、証明書の有効期限を設定します。
②発行申請
- 手順1で作成した「電子証明書発行申請書」をプリントし申請人の氏名を記載、登記所に提出している届出印を押印し、手数料の収入印紙を貼り付ける
- 手順1で作成した「証明書発行申請ファイル」を空のUSBかDVD等に入れる(フォルダ内に入っていると法務省で読み取れない場合あり)
- 法務局印鑑カード
これらを会社、法人の本店または主たる事務所の所在地を管轄する登記所に提出します。
登記所での確認が終わると電子証明書発行確認表が発行されます。
③電子証明書の取得(ダウンロード)
「商業登記電子認証ソフト」で電子認証登記所にアクセスし電子証明書をダウンロードします。
その際に手順1で作成した「鍵ペアファイル」を使用します。
※取得した電子証明書は暗号ファイルになっており、そのままでは閲覧できません。
確認するには「商業登記電子認証ソフト」を使用します。
4、インターネット出願ソフトのインストール
①インストール
以下のサイトよりインターネット出願ソフトをダウンロード請求します
https://dl-sv1.pcinfo.jpo.go.jp/update/
必要事項を記載し、ダウンロード請求ボタンを押すと記入したメールアドレスへダウンロードURL通知メールが送付されます。
ダウンロードURLにアクセスし、ソフトをダウンロードします。
②電子証明書の種類
インストール時に電子証明書の種類を聞かれます。必要に応じてクリックします。
私たちは法人でファイルタイプのものですので「いいえ」をクリックしました。
③動作環境
ソフトインストール実行中に環境設定ツールが自動で起動します。
ここで証明書の設定を行わないと次のステップへ進めない場合があるので、必ず設定を済ませます。
認証タブ→証明書モード
で、自分の証明書の種類を選択します
我々はファイルタイプなので『証明書ストア』を選択しました。
その他の設定はそのままで大丈夫です。
5、申請人利用登録
インターネット出願ソフトの「申請人情報・証明書管理ツール」にて申請人利用登録を行います。
今回がはじめての出願のなで左上の識別番号取得&利用登録を選択します。
必要事項を選択し、すすめると電子証明書の選択画面になるのでダウンロードした電子証明書を選択します。
そのまま進み、住所、名称などの必要事項を記入します。
我々は「PC任意タイプ」の証明書ストアを選択しましたが、「PC限定」でもどちらでも問題ないようです。
すすめていくと、予納するかどうかの選択肢がでてきますが、予納の予定はないのでそちらを選択しました。
最後に送信し、完了です
ついでに、私は電子現金納付予定なので「電子現金納付専用パスワード」「電子現金納付者カナ氏名」を設定しておきます。
「申請人情報・」証明書の登録」から「サービスメニュー紹介/変更」で設定します。
6、必要な手数料の納付
私は先に納付番号がほしかったので納付を先に行いました。
納付方法は電子現金納付です。
インターネット出願ソフトを用いて納付することができます。
インターネット出願ソフトの補助タブにて電子現金納付を選択し納付番号を取得します。
識別番号、電子現金納付パスワードを記入、「四法」は商標、「手続種別」は出願関係を選択
あとは必要な金額を記入します。
手数料は基本料金3400円+8600円×区分数になります。
私たちは2区分申請するので20600円と記載し、納付番号を取得しました。
このままインターネットバンキングによる振込みができます。
このまましなくても、番号をもってATMからでも振り込めます。
いよいよ出願編
ここまできたらようやく出願です。
出願するには必要書類を準備します。
書類はこちらからダウンロード可能です。
https://www.jpo.go.jp/torikumi/kaisei/kaisei2/pdf/syouyou_17.pdf
商標登録願 書き方
必須項目は赤字にしました。
- 【書類名】・・商標登録願(このまま)
- 【整理番号】・・任意。記載しなくても良し。記載するならローマ字(大文字に限る)、アラビア数字若しくは「-」又はそれらの組み合わせからなる記号であって、10文字以下(例;A-1)のものでなければなりません。出願事件を特定するためにも記載したほうが無難。なお、記載しないときは「【整理番号】」は削除。
- 【提出日】・・任意
- 【あて先】・・ 特許庁長官殿(このまま)
- 【商標登録を受けようとする商標】・・下に文字データ(後で勝手に枠線で囲まれます)今回は文字の登録だったので、文字データの下に【標準文字】と記載
- 【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】
- 【第 類】・・アクセサリーの店舗名なので第14類と記載
- 【指定商品(指定役務)】・・商標を受ける商品がアクセサリーなので身飾り品と記載
- さらにもう1区分追加で第35類 身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便宜の提供と記載
- 【商標登録出願人】
- 【識別番号】・・さきほど準備編で付与された識別番号を記載(必須ではないが付与されているので記載します)
- 【住所又は居所】・・識別番号があれば省略可
- 【氏名又は名称】・・我々は法人ですので会社名
- 【代表者】・・法人の場合は代表者を記載
- 【代理人】・・弁理士等に頼むならここに弁理氏名が入りますが今回は自分でしているので削除です
- 【手数料の表示】・・電子現金納付なので金額は記載せず納付番号のみ記載します
- 【納付番号】・・付与された納付番号を記載
- 【提出物件の目録】・・登録する商標が音声データ等の場合にデータを添付。今回は文字商標なので削除します
上の画像に印と識別ラベルとありますが、こちらは紙出願の場合ですので電子出願には必要ありません。
書き方がわからないときはとにかく特許庁に電話です。
早期審査に関する事情説明書の書き方
今回は早期審査も同時に提出します。
早期審査はやみくもには提出できません。提出しても却下されてしまいます。
まずは特許庁に電話して早期審査の対象になるかどうか聞いてみましょう。
様式が2種類あります。違いは『緊急性を要する状況の説明』があるかどうか。
今回は特許庁との相談の結果、なくてもいいだろうとの判断で記載しないほうの様式で提出しました。
- 【書類名】・・早期審査に関する事情説明書
- 【提出日】
- 【あて先】・・特許庁長官殿
- 【事件の表示】
- 【出願番号】・・同時に提出なのですが先に出願届けを提出し、出願番号を取得して記載します。このほうが確実なのでオススメします。(特許庁の人談)
- 【提出者】
- 【識別番号】・・さきほど準備編で付与された識別番号を記載(必須ではないが付与されているので記載します)
- 【住所又は居所】・・識別番号があれば省略可
- 【氏名又は名称】・・会社名
- 【代表者】・・法人の場合は代表者を記載
- 【代理人】・・今回は自分でしているので削除です
- 【早期審査に関する事情説明】
- 1、商標の使用者・・代表者名
- 2、商品の使用に係る商品名(役務名)・・出願届けに記載したまんまの役務名でOK。私の場合は「身飾り品」「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便宜の提供」と二つ記載しました
- 3、商標の使用時期・・〇〇年〇月から使用中
- 4、商標の使用場所・・商標の使用者の営業所、事務所その他その商標の使用がされた場所のいずれか一の所在地を具体的に記録
- 5、商標の使用の事実を示す書類・・使用の事実を示す証拠となる書類等を提出します。私の場合は広告、写真等を添付しましたので、「出願に係る商標の使用を示す資料として、商品の広告の写真等を添付する」と記載しました。
- 【提出物件の目録】
- 【物件名】・・商標の使用の事実を示す〇〇 1←この、1を忘れずに。これを忘れると出願時にエラーがでてしまいます。
- 複数ある場合は続けて下に【物件】を記載。
- 【添付物件】
- 【物件名】・・商標の使用の事実を示す〇〇(今度は「1」は記載不要。)
- 【内容】・・書類等を添付
- 複数ある場合は、添付の後に記載する
早期審査の証拠物件は何を添付すればいいの?
証拠の物件はなるべく多く出したほうがいいそうです。
私は「広告の写真」「商品(商標が記載されているのが大事)の写真を複数枚」「web自社サイトの特定商取引法に基づく表示のページのスクリーンショット」の3つを添付しました。
もちろんどの証拠にも商標が使用されているのが大前提ですが、webサイトのスクリーンショットは出願人の名前やwebサイトのURLが載っている事が大事だそうです。
webサイトのスクショの画像には、さらに文章でwebサイトのURLを記載。
webサイトはURLだけだといつ消えるかわからないのでスクショを、との事でしたが確認のためにページに飛ぶこともあるそうで、スクショの画像だけだとURLが見にくいため文章にてURLを記載しました。
インターネット出願ソフト起動!
起動したらまずインターネット出願ソフトサポートセンターに電話しましょう。
電話しながら出願できます。
電子出願ソフトサポートセンター
(東京)03-5744-8534
(大阪)06-6946-5070
※こちらはあくまでソフトの操作方法であり、出願に関しての法律的な質問は受け付けていません。
文書入力で入力チェック!
出願タブの送信ファイルをクリック。
左上の文書入力にてファイルを選択します。
指定すると『証明書情報確認』という別窓がでてくるのでOKをクリック。
すると文書の入力チェックが始まります。
入力チェック結果をひらくと正常かエラーかがわかります。
正常ならOK。
エラーだと書類に不備がある証拠ですので、書類を直します。
電話しながら操作をしている場合はエラーコードを伝えれば電話口ですぐに「ここを直しましょう」と教えてくれます。
書類印刷、表示でチェック!
入力チェックが正常になったら次は印刷して書類の確認をします。
上部にある印刷ボタンをクリックし実際に印刷して、きちんと見えてるか確認します。
印刷できない場合は表示ボタンをクリックし、確認できます。
オンライン出願!
問題がなければいよいよ出願ボタンをクリックです。
上真ん中にある「オンライン出願」のボタンをクリックしましょう!!
無事に出願できましたか??
出願番号の取得
ここで出願届けを出したら出願番号が取得されます。
この番号を早期審査の書類に記載。
早期審査の書類も同様に入力チェック→出願します。
無事に出願できたら受理済のところに接受とでます。
これで無事完了!
後は祈るばかりです。
結果の報告は結果が出次第追記します。
まとめ
かかった日数
区分を調べたり出願の概要を調べたりする準備に3日ほど。
出願の書類などの作成から出願まで4日。
合わせて一週間程度で完了しました。
かかった費用
電子証明書の発行手数料‥ 2500円(3ヶ月)
商標登録手数料(産業財産権関係料金)基本料金3400円+8600円×区分数‥20600円
合計23100円なり!
自分でオンライン出願は大変でしたができました!!!
電話すべし!
とにかく電話です。google先生で調べるよりも早くて的確。
電話をすれば大抵の事は解決します。
特許庁もソフトのサポートセンターもとっても丁寧に時間を割いて説明してくれました。
電話をすれば自分でも出せます!!!
特許庁 03-3581-1101(代表)
電子出願サポートセンター
(東京)03-5744-8534
(大阪)06-6946-5070
追記(その後)
出願後、商標権をゲットするまでをまとめましたので併せてご覧ください。